
MSX2発表とMZ-2500の発売と機を同じくして、
また新たなパソコンが登場した。
NECの宿命のライバル会社である富士通も
SRの登場に、ただ手をこまねいていたわけではなかったのだ。
下のチラシの写真にあるモニターで映されているような画面が
表示できるというパソコンを発売したのだ。
「総天然ショック(色)」

というキャッチコピーで登場した、富士通「FM-77AV」。
「AV」とは「オーディオ&ヴィジュアル」の略で、
まさしく、音と色の性能アップに特化させたパソコンだった。
まず、SR同様にFM音源ボードを搭載。
処理速度も大幅にアップ。
しかし、最大の売り文句は
4096色同時発色である。
4096とはずいぶん半端な数字だが、以前に書いたように
パソコンというのは8ビットが基本単位になっているため、
このように増えていくのだ。
8色、16色、32色、64色、128色、256色、512色、そして4096色。
4096色を同時に出せるというのは革命的だった。
実はそれまでのパソコンも256色とか512色とか出せたのだが、
機能的な制約で、512色のうち16色だけを選んで表示できるという
程度が最高であった。 それでも充分綺麗な絵が描けたのだが、
4096色となると、写真をほぼそのまま表示できる性能になる。
これはすごいことだった。
また、「パソコンテレビ」として君臨していたX1の地位を揺るがす
機能も装備していた。 「ビデオデジタイズカード」の搭載である。
専用モニターは、X1同様テレビ受信が可能で、さらにAVでは
オプション(後に標準装備)のビデオボードを搭載することで
テレビ画面をパソコンに取り込むことができるのだ。
しかも4096色だから、かなり綺麗に取り込める。
これには、さすがのX1も太刀打ちできない。
てゆーか、すでに別次元のパソコンだ。
さすが、シャープの「MZ-2500」と並んで、
「最強の8ビット3機種」のひとつとされた機体である。
いわゆる本格的な「3Dグラフィック(ポリゴン)」の表現が
可能になったのも、このFM-77AVが初めてだった。
FM-77AV「アムノーク」プレイ動画
これも、FM-7を持っていた友人が買い換えたので遊びに行った。
本体の発売と同時に専用ソフトも発売され、
ゲームセンターの画面以上に美しいゲームができた。
「う…美しい…。」
X1の8色しかない画面とは雲泥の差だった。
8色でも、2色以上の小さな点を交互に表示すれば、
見た目は中間色になる。
例えば、赤白赤白赤白と表示すれば、見た目にはピンクに見える。
その割合を変えていけばある程度の表現は可能だが、限界はある。
特に同系色でのグラデーションは難しかった。
しかし、色数が多ければ当然そんな問題も気にせず絵を描ける。
4096色は、まさに写真画質の画面を作り出せるようになった
初めてのパソコンだったのだ。
こんなものが128,000円で買える時代になったのか…。
(もっとも、専用モニターとセットになると高くなるのだが。)
FM-77AV「付属デモディスク」動画
でも、性能にプログラム技術が追いつかないのか、
付属のデモディスクは、ちょっとしょぼいけどね。
つづく
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