飛行缶 -SORA・TOBU・CAN-

デザインがカッコイイ缶を集め出したのが始まりでした。気づけば部屋中に大量の缶が。エピソードとともに整理しながら発表していきますので、おつきあい頂ければ幸いです。

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戦場は白馬 2

長野県は第2の故郷である。

その長野県で、冬季オリンピックが開催されるというのだ。
これは見に行くしかない。

と思ったのは、実はオリンピックが始まってからだった。
正直言うと、始まるまではわりと冷ややかに見ていた。
1998年と言うと、バブルがはじけて、まだまだ景気は悪く、
就職戦線においては「氷河期」が続いていた頃だ。

長野がオリンピックを誘致し、開催が決定した時は、
日本中がバブル真っ盛りでうわついていた頃。
それがバブルもはじけてしまったことで、予算も規模も縮小されて
たいしたイベントにはならないんじゃないか、というのが世間の評価だった。
しかし決まってしまったからには、国と県の威信をかけてやるしかない。
そこら中で工事が始まり、オリンピックのための道路が次々と整備され、
ついに夢かと思われた新幹線までやってきたのだった。

スキーを趣味とする私は、オリンピック直前の長野に何度か足を運んだ。
あと数日で開催という時期になっても、所々で工事はまだ終わっておらず、
競技会場周辺や幹線道路には大勢の警備員が昼夜問わず立ち並び、
長野の町は厳戒態勢よろしく異様な雰囲気を放っていた。
ところが、この警備員の多くは学生や地元市民のボランティアなのだ。
長野オリンピックは、人件費を抑えるために相当のボランティアを動員している。
おまけにこの年は例年にない暖冬。スキー場に雪でなく雨が降る日もあった。

「こんなに雪が少ないのは初めてかもねー。
 おまけにオリンピック前でお客さんが少ないのよー。」

飯縄高原の食堂のおばさんがポツリと漏らした。
オリンピックでゴタゴタして混み合ってるんじゃないかと思うのか、
年末年始でもスキー客が少なかったというのだ。

巨額の税金も投入された。道路拡張で立ち退きさせられた区画もあった。
ここまでして、果たしてどれほど盛り上がるのか?
オリンピックが始まる直前まで、長野の人たちも半信半疑だったのだ。

一抹の不安の中、長野オリンピックはついに始まった。
私は開会式をテレビで見ていた。
冬季オリンピックとしては過去最多の参加国を誇るが、
日本っぽさ、長野らしさを出そうとする演出は、やや地味な印象を受けた。

ところが、翌日になって、それまで冷ややかだった私は一変した。
始まって2日目。それはモーグルの予選だった。
当時、私自身スキーの上達に向けてモーグルを練習していた。
しかも競技会場は、この間も行ってきた飯縄高原。
だから、このモーグルだけは見ておきたいと思ったのだ。

女子モーグルでは、何といっても上村愛子が注目されていた。
地元長野は白馬高校の現役高校生。それだけでも話題性十分だが、
加えて美人でCMにも起用されていた。さらにオリンピック2度目の里谷多英
予選は優勝候補のフランスの選手がまさかの転倒というドラマチックな展開となり、
気がつけば手に汗握りながら、テレビにかぶりついていた。

さらにすごかったのは、男子の予選。男子はとにかくスピードが違う。
ターンもエアも、女子とは比較にならないほどダイナミックだ。
日本選手も健闘したが、圧巻だったのはアメリカのジョニー・モズレー
見事なエアリアルに、思わず「おおっ!」と叫んでしまった。
すっかり魅せられ、私はテレビの前で大興奮していた。



興奮はおさまらなかった。
私は即座に旅行会社に電話。

「モーグル決勝のチケットはありますか!?」

今ごろ残っているはずがない。案の定完売だった。
しかし、この興奮をどこに持っていけばいいのか。

ああ、見に行きたい。しかし、行っても見られる保証などない。
規制がどうなっているのか、そもそも会場まで近づけるのかすら分からない。
インターネットがまだ普及していなかった当時では、情報の収集にも限界がある。
どうしよう、どうしよう、
えーい、思い立ったが吉日だー!

翌日、私は愛車にスキーと車内泊の用意を積み込んで、長野に向けて走り出した。

つづく




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