
王冠の話になったところで終わった前回。
王冠とはもちろん、王様が頭にかぶっているアレである。
英語で「Crown」。
いや、そうでなくて。
ここで言う「王冠」とは、瓶ビールなどの口金のことだ。
一般には「フタ」とか「栓」といい、英語でいうと単に「Cap」。
要するに、この金属製のフタをひっくり返した形が王冠に似てるから、
日本では瓶の金属製キャップのことを「王冠」と呼ぶのだ。
俗称かも知れないが、ちゃんと辞書にも載っている。
最近見かける復刻版の瓶ジュースは、フタがアルミのボトルキャップになっていて
いわゆるペットボトルのフタと同じように、手で回せば開けられる構造である。
いちいち栓抜きを使わないと開けられない王冠が使われないのは、仕方ないことだ。
だが、この王冠は王冠で味があった。
昔は王冠の裏にビニールの内蓋がついていて、それを千枚通しなどでめくると
王冠の裏に「あたり」などと表記されているキャンペーンがあった。
「10円」とか「50円」と書いてある場合は、
お店からその分の現金がもらえるのだ。
最高額は「500円」だったらしいが、当たったことはない。
「あたり」の場合は、もう1本もらえたり景品がもらえたりといろいろである。
コカ・コーラの場合は、当たりが出るとコカ・コーラのボトルの形をした
プラスチック製のキーホルダーがもらえたことがあった。
これがよく出来ていて、もらえた時はとても嬉しかったものだ。
思えば、今のペットボトルなどについているオマケの走りだったのかもしれない。
他にも当たりはずれに関係なくキャラクターなどがプリントされていることもあり、
これらをコレクションした人もいたことだろう。
で、私はというと、その王冠自体を集めていた。
考えてみれば、これが初めてのコレクションだったと思う。
種類の違ういろんなジュースの王冠を集めて、
お菓子の箱いっぱいぐらいにため込んでいた。
親父が飲んだビールの王冠も取っていたが、ビールの王冠は
裏がコルクになっていて、ビールのにおいが染み込んでいるので
好きではなかったので、あまり持っていなかった。
王冠をきれいに取っておくのは意外と難しい。
王冠は金属製だが、栓抜きで普通に開けると「くにゃっ」と曲がってしまう。
コレクションとしては、なるべくまっすぐに近いものが欲しいので、
くるくる回しながら、4回ぐらいに分けてちょっとずつ開けたりした。
あとは錆びてしまうので水気を切ることが大事なのだが、
そこはそれ、子どもの頃のこと。
ジュースがバッチリ付いたまま保管してたりしたので、
久しぶりに箱を開けたら見事に錆びていたことも多かった。
友達にも自慢していたコレクションだったが、懲りずに何度も錆びさせたこともあって、
大きくなった頃に、いつの間にやら捨ててしまった。
当時はありふれたものだったが、今も持っていたら珍しかっただろう。
まあ、これはこれで、やはりディープなコレクターがいるようだが。
さて、今回紹介したコーラ瓶は、つい最近入手したものだが、
話の主旨はボトルである。

コカ・コーラ 6オンス瓶
炭酸飲料 190ml
糖類、カラメル色素、酸味料、香料、カフェイン
コカ・コーラ ナショナルビバレッジ
コカ・コーラといえば、この独特な瓶の形である。
現在のペットボトル版でも、それっぽく造形されているが、
この形はどうして生まれたのか。そこにはコカ・コーラの巧みな戦術がある。
全米でコカ・コーラがヒットするや、当然出てくるのが類似品である。
そこでコカ・コーラは考えた。
ジュースの外観にもアイデンティティーを持たせればよい、と。
かくして、「ボブルスカート」と呼ばれる特徴的なボトル・デザインが考案され、
その形を意匠登録したことによって、類似品は消滅していった。
あの形は「グラマーな女性のボディラインをデザイン化したもの」だという説があるが、
それは俗説らしく、真相は「暗闇で触ってもコカ・コーラだと分かるため」だという。
コカ・コーラは商品を売り込むために、執念とも言える徹底した戦略を駆使したのである。
他にも、当時成長期だった映画産業とも手を組み、映画の中にコカ・コーラの看板を
登場させたり、1億個を超えるノベルティー・グッズを出したりと、宣伝広告に力を入れた。
「サブリミナル効果」というものをご存じだろうか。
映画などを見ていて、人間の目では確認できないぐらい、ほんの一瞬だけ
違う映像を混ぜ込ませて繰り返し流すと、無意識に記憶に刷り込まれるというものだ。
コカ・コーラは映画を使ってこれを行い、映画を見終えた人たちが、無意識にコカ・コーラを
飲みたくなるようにしたという話だ。(これは後に禁止された)
こうした徹底的な宣伝戦略により、コカ・コーラはその地位を不動のものとした。
だが、確かに宣伝による効果は大きかったかも知れないが、
100年以上経った現在でも炭酸飲料の代表としての地位を保っているのは、
コカ・コーラのロゴやボトルのデザインが素晴らしいものであり、
発売当時から変わらずに定着したことが深く関わっていると思うのだ。
完成されたデザインは、
それ自身がアイデンティティーとなる。
デザインは工業製品にとって大切なものであり、
コカ・コーラはまさにその象徴だと考えるのは、私だけだろうか。
長々と書いてきたコカ・コーラについてのお話も、まずはこれにてひと段落。
今夜はコカ・コーラで乾杯といこうか。
炭酸飲めないけど。
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王冠とはもちろん、王様が頭にかぶっているアレである。
英語で「Crown」。
いや、そうでなくて。
ここで言う「王冠」とは、瓶ビールなどの口金のことだ。
一般には「フタ」とか「栓」といい、英語でいうと単に「Cap」。
要するに、この金属製のフタをひっくり返した形が王冠に似てるから、
日本では瓶の金属製キャップのことを「王冠」と呼ぶのだ。
俗称かも知れないが、ちゃんと辞書にも載っている。
最近見かける復刻版の瓶ジュースは、フタがアルミのボトルキャップになっていて
いわゆるペットボトルのフタと同じように、手で回せば開けられる構造である。
いちいち栓抜きを使わないと開けられない王冠が使われないのは、仕方ないことだ。
だが、この王冠は王冠で味があった。
昔は王冠の裏にビニールの内蓋がついていて、それを千枚通しなどでめくると
王冠の裏に「あたり」などと表記されているキャンペーンがあった。
「10円」とか「50円」と書いてある場合は、
お店からその分の現金がもらえるのだ。
最高額は「500円」だったらしいが、当たったことはない。
「あたり」の場合は、もう1本もらえたり景品がもらえたりといろいろである。
コカ・コーラの場合は、当たりが出るとコカ・コーラのボトルの形をした
プラスチック製のキーホルダーがもらえたことがあった。
これがよく出来ていて、もらえた時はとても嬉しかったものだ。
思えば、今のペットボトルなどについているオマケの走りだったのかもしれない。
他にも当たりはずれに関係なくキャラクターなどがプリントされていることもあり、
これらをコレクションした人もいたことだろう。
で、私はというと、その王冠自体を集めていた。
考えてみれば、これが初めてのコレクションだったと思う。
種類の違ういろんなジュースの王冠を集めて、
お菓子の箱いっぱいぐらいにため込んでいた。
親父が飲んだビールの王冠も取っていたが、ビールの王冠は
裏がコルクになっていて、ビールのにおいが染み込んでいるので
好きではなかったので、あまり持っていなかった。
王冠をきれいに取っておくのは意外と難しい。
王冠は金属製だが、栓抜きで普通に開けると「くにゃっ」と曲がってしまう。
コレクションとしては、なるべくまっすぐに近いものが欲しいので、
くるくる回しながら、4回ぐらいに分けてちょっとずつ開けたりした。
あとは錆びてしまうので水気を切ることが大事なのだが、
そこはそれ、子どもの頃のこと。
ジュースがバッチリ付いたまま保管してたりしたので、
久しぶりに箱を開けたら見事に錆びていたことも多かった。
友達にも自慢していたコレクションだったが、懲りずに何度も錆びさせたこともあって、
大きくなった頃に、いつの間にやら捨ててしまった。
当時はありふれたものだったが、今も持っていたら珍しかっただろう。
まあ、これはこれで、やはりディープなコレクターがいるようだが。
さて、今回紹介したコーラ瓶は、つい最近入手したものだが、
話の主旨はボトルである。

コカ・コーラ 6オンス瓶
炭酸飲料 190ml
糖類、カラメル色素、酸味料、香料、カフェイン
コカ・コーラ ナショナルビバレッジ
コカ・コーラといえば、この独特な瓶の形である。
現在のペットボトル版でも、それっぽく造形されているが、
この形はどうして生まれたのか。そこにはコカ・コーラの巧みな戦術がある。
全米でコカ・コーラがヒットするや、当然出てくるのが類似品である。
そこでコカ・コーラは考えた。
ジュースの外観にもアイデンティティーを持たせればよい、と。
かくして、「ボブルスカート」と呼ばれる特徴的なボトル・デザインが考案され、
その形を意匠登録したことによって、類似品は消滅していった。
あの形は「グラマーな女性のボディラインをデザイン化したもの」だという説があるが、
それは俗説らしく、真相は「暗闇で触ってもコカ・コーラだと分かるため」だという。
コカ・コーラは商品を売り込むために、執念とも言える徹底した戦略を駆使したのである。
他にも、当時成長期だった映画産業とも手を組み、映画の中にコカ・コーラの看板を
登場させたり、1億個を超えるノベルティー・グッズを出したりと、宣伝広告に力を入れた。
「サブリミナル効果」というものをご存じだろうか。
映画などを見ていて、人間の目では確認できないぐらい、ほんの一瞬だけ
違う映像を混ぜ込ませて繰り返し流すと、無意識に記憶に刷り込まれるというものだ。
コカ・コーラは映画を使ってこれを行い、映画を見終えた人たちが、無意識にコカ・コーラを
飲みたくなるようにしたという話だ。(これは後に禁止された)
こうした徹底的な宣伝戦略により、コカ・コーラはその地位を不動のものとした。
だが、確かに宣伝による効果は大きかったかも知れないが、
100年以上経った現在でも炭酸飲料の代表としての地位を保っているのは、
コカ・コーラのロゴやボトルのデザインが素晴らしいものであり、
発売当時から変わらずに定着したことが深く関わっていると思うのだ。
完成されたデザインは、
それ自身がアイデンティティーとなる。
デザインは工業製品にとって大切なものであり、
コカ・コーラはまさにその象徴だと考えるのは、私だけだろうか。
長々と書いてきたコカ・コーラについてのお話も、まずはこれにてひと段落。
今夜はコカ・コーラで乾杯といこうか。
炭酸飲めないけど。
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