
新年の1発目はこれにしようと決めていた。
それだけ、思い入れのある缶だ。
今から10年前。
当時、「デザインの現場」という雑誌を購読していた私は、
ある記事を見て衝撃を受けた。
銀の地にシンプルな黒文字。
デカデカとゴシック体で主張する「in」のロゴ。
ウィダーという聞き慣れないブランドの商品は、
宇宙食のデザインかと思ったほどに斬新で、
強烈に目に飛び込んできた。
「カ…カッコイイ…!!」

ウィダー・ビタミン・イン
清涼飲料水 350g
糖類(砂糖、果糖ぶどう糖液糖),グレープフルーツ果汁,クエン酸,
香料,乳酸Ca,食塩,塩化K,クエン酸Na,V.C,塩化Mg,グルタミン酸Na,
ナイアシン,V.E,パントテン酸Ca,V.B6,V.B2,V.B1,V.A,葉酸,V.B12,V.D
森永製菓(㈱)
今でこそアルミの素地を生かした缶も多いが、
当時はまだ珍しかった。
加えてこの文字だけという大胆なデザイン。
巨匠田中一光ばりのタイポグラフィではないか!(言い過ぎ?)
これは久々のヒットである。 いや、ホームランだ。
ぜひとも手に入れなければ!!
というわけで、私は見たことのないこの缶を探し求めた。
しかし!
これがどこにも売っていない。
自販機はおろか、スーパーにもコンビニにもどこにもない。
いったいどこで手に入るんだ。
もしかしてすでに絶版なのか!?
これは限定品だったのか!?
それとも関東エリア限定とかなのか!?
手に入らないとなると、ますます欲しくなるのが人の性。
いったい実物はどんな感じなんだ。
どんな味なんだ。
まるで、会ったことのないペンフレンド(※)に片思いをするかのように、
恋い焦がれて探しまくった。
だが、出会うことはできなかった…。
つづく
※ペンフレンド=文通友達 いや~、懐かしい響きだ。今でいうメル友かな。
恐らく10代には通じないと思って注釈つけてみた。
だって、ポケベルってなに?っていう世代だぜ…?
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