飛行缶 -SORA・TOBU・CAN-

デザインがカッコイイ缶を集め出したのが始まりでした。気づけば部屋中に大量の缶が。エピソードとともに整理しながら発表していきますので、おつきあい頂ければ幸いです。

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青色 破壊命令 1

今回は、定番商品の「ポカリスウェット」。
私が缶の魅力に取り憑かれた頃にはすでに世の中に浸透していたので
購入に関してのエピソードは特にないが、
発売が1980年なので発売時の記憶はそれなりにある。

まず、発売元が「大塚製薬」ということ。
製薬会社がジュースを出したのだから、これはちょっとした事件だった。
大塚製薬はすでに「オロナミンC」というヒット商品を出していたが、
これはビンに入った「栄養ドリンク」のイメージが強いので納得がいく。
しかし、ポカリはジュースと同じように缶飲料として登場した。
発売当時は、缶飲料と言えばジュースしかなく、
そもそもスポーツドリンクなどという概念すらなかった時代。
テレビCMで最後に出る社名を見て「なんで製薬会社?」と思ったものである。

加えてこのポカリ、発売当時は他のジュースに比べて高かった
当時はまだ350ml缶が存在しておらず、細長い245ml缶が一般的だったが、
他のジュースが100円の時代に、ポカリは120円だった。
いくら体に良いと宣伝されても、20円も高いジュースを子どもが買うわけもなく、
私がポカリを飲んだのは、親が気まぐれに買ってきた時ぐらいだった。
感想はすばり「薬みたいな味をした薄~いジュース」。もちろん、子どもには不評。
コーラが日本で発売された時も同じように評されたのは有名だが、それと同じ。

それもそのはずで、ポカリのコンセプトは「飲む点滴」
ずばり、「生理食塩水(リンゲル液)」なのだ。
そもそも大塚製薬は、病院で使用される点滴用のリンゲル液を作っていた会社なので
ポカリはリンゲル液を元にして、飲みやすいスポーツドリンクとして開発された。
「アイソトニック【(人の体液と)等浸透圧の】飲料」という言葉も、
ポカリによって生み出されたというから驚きだ。

POCARI

ポカリスウェット
清涼飲料水 340g
砂糖、ぶどう糖果糖液糖、果汁、食塩、酸味料、ビタミンC、
塩化K、乳酸Ca、調味料(アミノ酸)、塩化Mg、香料
大塚製薬(1980)


さらにポカリが変わっていたのは、缶が「青い」こと。
普通、ジュースとは「甘い」もしくは「甘酸っぱい」ものである。
「甘いもの」「甘酸っぱいもの」といえば「果物」。
「果物」と言えば、「赤いりんご」や「橙色のみかん」、
黄色のレモンやパイナップル」など、暖色系のものが多い。
だから缶ジュースのデザインも、そうしたイメージを連想させるために
暖色系を使うのがセオリーであって、
美味しそうに見えない青色の缶など皆無だった。
そんな青色を飲食品のパッケージに使うのは、当時の業界ではタブーだったらしい。
だがポカリは、スポーツ飲料としての清涼感をイメージとして打ち出すために
タブーを冒して青色を採用した。

これが大ヒットとなるや、他のメーカーもこぞって青色の商品を発売した。
紹介済みの「TERRA」や「Air」、ポカリに匹敵する「アクエリアス」がいい例である。
今でこそ青い缶など珍しくもないが、それもポカリの功績によるものだ。

と、こーして長々と書いてはみたが、当時は細かいことなど知らず、
「体にいいらしいが、高いジュース」というイメージしかなかった。
恐らく、世間も同じようなイメージだったのだろう。
ポカリは発売当初、かなり苦戦したらしい。
理由は前述したように、今までにないカテゴリとデザインであったことだが、
さらに、当時の運動部やスポーツ業界での妙な常識に阻まれた。それは、
「運動中には水分を摂ってはいけない」。 
今では狂ってるのかと言われそうな話だが、
「水を飲んで運動すると、すぐにバテる」という理由で、
当時は本当に水を飲ませてはもらえなかった(経験者)。
たからポカリスウェットも「運動した後に飲むもの」という意味での
スポーツドリンクとして売り出されたのである。

もちろん、肝心の味と機能のバランスが念入りに調整された商品であり、
着実に消費者に受け入れられたからこそ、次々と登場するライバルに負けることなく
定番の座を守っているのだが、デザイン的に見ても素晴らしいのひと言に尽きる。
発売当時からデザインがあまり変わっていないことが、
最初のデザインがいかに完成されたものかを物語っている。

さすが、開発に7年もかけた商品である。

ところでこのポカリ、実は今でも少し高いってことに気づいてるだろうか。
缶の容量をよく見ると、340gである。普通、このサイズは350gなので10g少ない
値段を他のと同じにした代わりに、中身をちょっと減らしてあるのだ。

やるな、大塚製薬


まめちしき


今回は購入エピソードではなく、ポカリの開発経緯について触れてみた。その中でも特に「青色」について触れてみたい。本文でも「飲食品のパッケージに青色を使うのはタブー」と書いたが、それは実験による裏づけがあるのだ。人間の精神・感情・行動に、色がもたらす影響を調べる実験は数多く行われているが、青色には「食欲を減退させる効果」があることが分かっている。例えばテーブルに置かれたご飯を、青色のライトの下で食べると、おいしく感じなくなるという。あるいは、お米を少しだけ青く着色して炊いたご飯は、食べる気もしなくなる。これが青色の効果である。逆に、ご飯を赤いライトの下で食べると、問題なく食べられるどころか、おいしそうに見えて食欲を増すという。これを活かして、飲食店のサンプルは暖色系のライトで照らされていたり、メニュー写真の周りは赤色系の色で縁取られていたりする。だからポカリが青色にデザインされた時、大塚製薬の食品部門スタッフが戦々恐々としたという話も、当然のことだったりする。



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