
こうして、御三家との争いに一時は破れたメーカーも
MSXによってパソコンブームに乗ることに成功した。
MSXが普及した理由は、もちろん「統一された規格」である。
これは、性能が統一されているというより、
プログラムが統一されたことによるメリットが大きかった。
自分と友人のパソコンのメーカーが違っても、
それがMSXであればゲームやプログラムの交換ができたのだ。
ソフトを供給する会社側としても、「MSX用」として作ればよいので、
ゲームソフトの数も御三家を凌駕するほど多かった。

このプログラムの統一を実現したのが「OS」の存在である。
「Operating System(オペレーティング・システム)」とは、
「プログラムを走らせるためのプログラム」である。
パソコンだけでなく、プリンターやスキャナーなど、
様々な機械がいろんなメーカーから発売されており、
プログラムとはその機械に「こう動きなさいよ」と命令するものである。
しかし、メーカーや使用している部品が違えば、その命令方法も異なってくる。
例えば、使うプリンターのメーカーが変われば、プログラムも変える必要がある。
その時にユーザーがいちいちプログラムを変えなければならないのでは、
便利な機械も面倒なものでしかない。
そこで、どんなプリンターだろうと、どんなスキャナーだろうと、
「同じ方法で動かせる」ようにしてくれるのが「OS」である。
MSXには、これが始めから組み込まれているというわけだ。
この「OS」を介した状態でユーザーは使うわけだから、
「どのプリンターをつなげても同じ方法で操作できる」ようになるわけであり、
「どのMSXでも色んなプリンターが同じように使える」というわけである。

もちろん、御三家のパソコンにもOSのようなものはあった。
それが「BASIC言語」であり、同じメーカーのパソコンであれば
だいたい同じBASICプログラムで動かすことができた。
しかし、このBASIC自体がメーカーごとに違うので、
シャープ用のプログラムを富士通のパソコンに入れても走らないし、
NECに買い換えたら、NEC用のBASICを覚え直す必要があった。
MSXは、そうしたメーカーごとのプログラムの違いをなくすために
共通OSを採用した、というわけである。
現在の例で言えば、全く基本設計が異なるはずのMacでも、
Windows用のゲームやソフトが使えることである。
これはMac OSに、Windows用ソフトが使えるプログラムが組み込んであるから。
だからOSそのものには、Mac用とWindows用がある。
Mac本体にはMac OSを入れるのであって、Windows OSは入れられない。

↑Macの画面の中にWindowsの画面がある
現在のパソコンでは当たり前の「どのパソコンでも同じソフトが使える」が、
初めて実現したのがMSXだったのである。
もし当時に御三家パソコンに対応したMSX OSがあったら、
御三家パソコンでもMSX用のゲームが遊べたのに…とも思うが、
性能が著しく違うので、かなり複雑で高価なOSになったろうし、
何より処理速度が遅すぎて使い物にならなかったろう。
いや、それより御三家のプライドが許さなかったかな?
ともかく、MSXという新たな規格の参入により、
パソコン業界はさらに混迷の時代へと突入していくのである。
つづく。
MSXによってパソコンブームに乗ることに成功した。
MSXが普及した理由は、もちろん「統一された規格」である。
これは、性能が統一されているというより、
プログラムが統一されたことによるメリットが大きかった。
自分と友人のパソコンのメーカーが違っても、
それがMSXであればゲームやプログラムの交換ができたのだ。
ソフトを供給する会社側としても、「MSX用」として作ればよいので、
ゲームソフトの数も御三家を凌駕するほど多かった。

このプログラムの統一を実現したのが「OS」の存在である。
「Operating System(オペレーティング・システム)」とは、
「プログラムを走らせるためのプログラム」である。
パソコンだけでなく、プリンターやスキャナーなど、
様々な機械がいろんなメーカーから発売されており、
プログラムとはその機械に「こう動きなさいよ」と命令するものである。
しかし、メーカーや使用している部品が違えば、その命令方法も異なってくる。
例えば、使うプリンターのメーカーが変われば、プログラムも変える必要がある。
その時にユーザーがいちいちプログラムを変えなければならないのでは、
便利な機械も面倒なものでしかない。
そこで、どんなプリンターだろうと、どんなスキャナーだろうと、
「同じ方法で動かせる」ようにしてくれるのが「OS」である。
MSXには、これが始めから組み込まれているというわけだ。
この「OS」を介した状態でユーザーは使うわけだから、
「どのプリンターをつなげても同じ方法で操作できる」ようになるわけであり、
「どのMSXでも色んなプリンターが同じように使える」というわけである。

もちろん、御三家のパソコンにもOSのようなものはあった。
それが「BASIC言語」であり、同じメーカーのパソコンであれば
だいたい同じBASICプログラムで動かすことができた。
しかし、このBASIC自体がメーカーごとに違うので、
シャープ用のプログラムを富士通のパソコンに入れても走らないし、
NECに買い換えたら、NEC用のBASICを覚え直す必要があった。
MSXは、そうしたメーカーごとのプログラムの違いをなくすために
共通OSを採用した、というわけである。
現在の例で言えば、全く基本設計が異なるはずのMacでも、
Windows用のゲームやソフトが使えることである。
これはMac OSに、Windows用ソフトが使えるプログラムが組み込んであるから。
だからOSそのものには、Mac用とWindows用がある。
Mac本体にはMac OSを入れるのであって、Windows OSは入れられない。

↑Macの画面の中にWindowsの画面がある
現在のパソコンでは当たり前の「どのパソコンでも同じソフトが使える」が、
初めて実現したのがMSXだったのである。
もし当時に御三家パソコンに対応したMSX OSがあったら、
御三家パソコンでもMSX用のゲームが遊べたのに…とも思うが、
性能が著しく違うので、かなり複雑で高価なOSになったろうし、
何より処理速度が遅すぎて使い物にならなかったろう。
いや、それより御三家のプライドが許さなかったかな?
ともかく、MSXという新たな規格の参入により、
パソコン業界はさらに混迷の時代へと突入していくのである。
つづく。
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