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飛行缶 -SORA・TOBU・CAN-

デザインがカッコイイ缶を集め出したのが始まりでした。気づけば部屋中に大量の缶が。エピソードとともに整理しながら発表していきますので、おつきあい頂ければ幸いです。

アルコール強行突破作戦 1

私はまったく酒を飲まない。

正確には飲めない。
威張って言うことではないが。

生まれて初めてまともに「飲んだ」のは○○才の時だった。
クラスの打ち上げの時に、好きな子が向かいの席に座っていて、
どんどん水割りを作ってくれたので、嬉しいやら楽しいやらで
調子に乗って次々と飲み干した。

思えば彼女もすでにできあがっていたのだろう。
チューハイやウィスキーどころか、アルコール度数28%のウォッカ
ほとんど割らずに次々と差し出してきた。
酒の飲み方を知らない私は、それらを全て一気飲みした。
量はたいしたことないが、グラスで13杯ほど飲んだ記憶がある。
さすがにウォッカはグラス一杯とはいかず、ワンフィンガー程度だったが、
味などというものを感じる以前に、劇薬物的な刺激に襲われたと思う。
まぁ、口の中をアルコール消毒されたようなもんだからな。
酔ってて、よく分かんなかったけど。

その後、どうなったかは想像に難くない。
酔っぱらって道路に寝転がった、記念すべき第1回である。
思えばこの時に飲んだのが人生においてMAXで、その後この記録を抜いたことはない。

意外なことに2日酔いになったことはないので、
アルコール分解酵素も雀の涙ほどは持ってるのかもしれないが、
その能力が発揮されるのは、帰宅してひと晩眠ってる間である。
飲んでいる最中は役に立たないので、あまり意味はない。
若い頃は何度か無茶な飲み方をしたこともあるが、
たいていは即座にグロッキーモードに入るので、量は飲めず、
酔っぱらって道路に寝転がったことは、もはや数え切れない。

ちなみに最短記録は、ビールをコップ2杯でリバースである。
ジョッキではない。
古い居酒屋やお好み焼き屋に行くと出てくる、
あのサイズのコップである。
なんて安上がりな体なのだろうと、我ながら感心である。

なので、自分で酒を買うことは、まずない。
飲み会などの時も、最初のひと口だけなめて、即ウーロン茶である。
よって、缶のコレクションに酒の缶が加わることは、まずない。
だが今回の缶は、缶のデザインの歴史において
いや、工業製品において金字塔的存在だと思うので、購入した次第である。

氷結1
氷結
リキュール 350ml
ゆず果汁、ウォッカ、糖類、酸味料、香料、アルコール分5%
麒麟麦酒(2001)


この缶自体は現行品である。
酒を飲まないので、残念ながら発売当時には買っていないのだ。

発売当時は「氷結果汁」という商品名だったが、
お酒らしくないデザインと「果汁」という表記によって
子どもが間違えて購入するという苦情があったらしく、
現在の商品名は「氷結」のみである。
それに伴って、デザインも若干変更されているが、基本路線は変わっていない。

さて、今回はデザインに言及する前に、チューハイとは?を考えてみる。
だってこの氷結、表面には堂々と「CHU-HI」と書かれてるのに
原材料のところには「ウォッカ」って書いてあるよ。
あれ? チューハイのチューって、焼酎のチューからきてんじゃないの?
高度経済成長の頃に流行った、「焼酎ハイボール」の略称でしょ?
ハイボール」はウィスキーを炭酸で割ったもので、
その庶民版として、安い焼酎を炭酸果汁で割ったものが「焼酎ハイボール」。
略して「チューハイ」。間違ってないよなぁ…。
うむむむむむむむ、だーっ! 

そもそも酒税法上「チューハイ」という分類はないらしい。
酒税法上「酒類」と分類されるものは、
清酒、合成清酒、焼酎、みりん、ビール、果実酒類、
ウイスキー類、スピリッツ類、リキュール類及び雑酒の10種類のみ。
チューハイというカテゴリーはなく、ウォッカというカテゴリーもない。
でも、焼酎って分類はあるじゃーん。
ああ、原料に焼酎を使ってないからダメなのか。
あれ? ウォッカは酒税法上スピリッツ類に入るんだけど…。
うむむむむむむむ、んがぁーっ!! 

ま、つまり純粋なウォッカはスピリッツ類だが、
果汁やら砂糖やらを足すと混成酒になって、リキュール類に入るってことかな。
氷結は麒麟の洋酒部門のウォッカの蒸留技術を生かしているが、
商品としては混成酒類になるので「リキュール類」だ、と。
あと、恐らく「リキュール類」の方が税率も安いのだろう。
あー、ややこしや。

じゃあ、何で「チューハイ」と名乗っているのかというと、
一般的で親しみやすいということだろう。
「チューハイ」には厳密な定義はなく、しいて言うなら
焼酎やウォッカなどの「蒸留酒」を炭酸で割ったもののことらしいので。
そう考えたら「サワー」も謎だ。「チューハイ」と何が違うんだろう。
気が向いた人は調べてみてください。

次回はこいつのデザインについて。


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三十丸、追撃!

しばらく忙しかったので、更新がとどこおっておりました。

基本的に「ペットボトルはコレクションの対象ではない」ので、今回は微妙なもの扱いで。

ゴマ油です。 
30丸

いや、お茶だけどね。
このボトルのひょうたん型といい、濃い茶色の中身といい、
飲み物のコーナーに置いてなかったら、絶対ゴマ油だと勘違いするよ。
実際、最初にパッと見た時に「なんでゴマ油が?」と一瞬思ったし。
だから、これはネタにしようと買ってしまった。

この「すっきり旨み 三十丸」、
色んな茶葉が30品目もブレンドされているのがウリなんだけど、
味は、はっきり言ってハト麦茶。
よって、成分はハトムギに始まって、ハブ茶、玄米…などはいいとして、
後半には昆布サツマイモ椎茸まで入っていて、
すでに茶葉ではない。
ここまでくると、漢方薬の世界になってくるんじゃないだろうか。
カレーのスパイスじゃないんだから、ブレンドが多けりゃいいってもんじゃないと思うが、
次から次へと色んなお茶が出る激戦カテゴリで目立つには
ここまで混ぜにゃならんのが現実なのだろーかと、哀れみすら誘う。

その昔、ヒーローロボットアニメでは、スポンサーの意向もあって
合体ものが多かった時代があった。
主役のロボットが1機より、たくさんあった方がおもちゃがたくさん売れるからだ。
最初は3機合体で、5機合体になり、6機合体が出て、
ついには16機合体というありさまで、
もう、どれがどれだか訳が分からないところまでいきついた。

昨今のお茶戦争も、その様を呈しているように見える。
それも「十六茶」「爽健美茶」に始まる功罪か。
なるほど、他社のヒット商品を追撃する商品なのですな。
確かにHPを見ると、意外と丁寧に紹介されている。
(いや、サントリーのHPは全体的によくできているのだが)

しかし、それにしてもだ。
このパッケージデザインはひどい。ひどすぎる。
せっかく30品目も使っているというのに、まったく気合いが感じられない
色遣いもロゴも、無難も無難。2時間で作れてしまうデザインだ。
しかも見た目がゴマ油
「烏龍茶」「伊右衛門」といった、大ヒット商品を生み出したサントリーとは思えない。
これはどういうことか。
同じ飲料部門の中にも、いくつかの開発チームがあって、
この三十丸は立場の弱いチームだったりとかするのだろうか。
いろいろ邪推してしまうが、とにかくこのデザインと味はないよなぁ。
これは某100円均一ショップで見つけたのだが、そういえばコンビニなどではまず見ない。
つまり、やはりそれだけの扱いということなのだろう。
デザインが商品の格を左右する好例として取り上げたわけだが、
もちろん、飲んだ後はリサイクルとして捨てました。惜しげもなく。

こうしたブレンド茶戦争、
そのうち「256品目をブレンド」とか出てきそうだが、
その時は、マムシとか葛根湯までブレンドされているかも知れない。


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お腸夫人 恋のあと

さて、長い話が続いたので、ここらで息抜きなどを。

このブログは、基本的に缶の紹介である。

今やドリンクの主流となったペットボトルは、ポリエチレン製のペラペラなラベルが、

どうしても工業製品のデザインとして美しさが足りない感じがするのである。

しかし時々、ペットボトルや瓶で、見過ごすには惜しいほどの

面白いデザインや限定的な商品に遭遇することがある。

地元のスーパーに行った時にたまたま見つけた、これ。

お腸1

お腸夫人
清涼飲料水 100ml
プルーン、食物繊維(難消化性デキストリン)、香料
ダイドードリンコ株式会社(2003)



どーだろ、これ。

一瞬、目を疑ったね。誤植…じゃないよなぁ、と。

完全に「ダジャレ」である。しかも、かなり低レベルの。

だが、インパクトもかなりのものである。とりあえず大爆笑しておいた。

「お腹にはプルーン。覚えてらして。」

「この1本、お腹によろしいのよ!」


お腸夫人にこう言われたら、買うしかない。

紫色に統一されたラベルとお蝶夫人のイラストが、実に不思議な美しさを醸し出している。

さすが、完成された山本鈴美香(やまもとすみか)の原画の力というべきか。



これは栄養ドリンクのように、6本セットで売っていた。

1本140円と、このサイズにしてはお高い。

それなりに中身に自信があるということなのだろうか。

飲んでみると、まったりと濃~いぶどうジュースみたい。

いや、プルーン100%なんだけどね。美味しかったよ。

プルーンに整腸作用があるのは、わかる。

それを大々的に売り文句にしたいのも、わかる。

だからって、「お腸夫人」とは…。やるなぁ、ダイドー。

企画した人も偉いが、商品化を許した上司もすごいよなぁ。

てゆーか、作者や版権元も、よく許したもんだな。

この程度では「お蝶夫人」の人気は揺るがないという判断か。

きっと、ダイドー側も

「お蝶夫人はネームバリューもあるし、これはナイスなネーミングだ!」

と、自信満々だったんだろう。ダイドーのHPでも

「機能性を強烈なインパクトでターゲットに訴求しました。」

って、力強くコメントしてるし。



それにしても、ダイレクトな商品名だ。

ターゲットはもちろん女性なんだけど、これ買う時って

「私、便秘に悩んでます」

って、大々的に言ってるようなもんだもんなぁ。

ちなみに、ラベルは全部で5種類。

ぜひ、缶で出して欲しかった一品である(値段が3.5倍になるだろうが)。

お腸3

余談だが、この商品が発売された翌年に、上戸彩主演で「エースをねらえ」の

実写ドラマが放送されたが、タイアップなどは全くない。

むしろ、この商品とのタイアップは、ドラマ側としても避けたいところだろう。

この時のお蝶夫人役の姿は、それなりに巻き毛で頑張ってはいたが、

さすがにマリー・アントワネットばりとはいかなかった。

そりゃ、あの髪型でホントにテニスしたら邪魔だろうな。



「お蝶夫人」、一瞬にして店頭から姿を消したので、継続販売には至らなかったようだが、

版権の問題もあるだろうし、もともと一発ネタ的な商品だったに違いない。

不景気な時代だというのに、ギャンブル精神にあふれたダイドーに乾杯。



まめちしき

若い人でも名前だけは知っている名作「エースをねらえ」(原作:山本鈴美香)。アニメ化されて一世を風靡し、今でもことあるごとにパロディネタにされるほどである。それは、少女漫画でありながら、少年誌以上のスポ根的ストーリー展開と、個性豊かなキャラによる。主人公「岡ひろみ」より、はるかに強烈な個性を放っていたのが、ライバルの「お蝶夫人」こと「竜崎麗華」。大財閥の娘にして、生徒会副会長で、スーパーテニスプレーヤーというとこまでは、少女漫画によくある設定。加えて高校生にあるまじきマリー・アントワネットばりの金髪と巻き毛の持ち主で、高校生なのに「夫人」呼ばわりされる謎など意にも介さない、突き抜けた個性の持ち主。「漫画のキャラなら何でもあり」を体現した大人気キャラクターで、今回の「お腸夫人」への起用も納得である。


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青色 破壊命令 2

さて、またポカリである。

いつの間にか登場し、いつま間にか消滅して、いつのまにかレアになった缶。

STEVIA

ポカリスウェット ステビア
DIET POCARI SWEAT STEVIA
清涼飲料水 340ml
果糖、砂糖、酸味料、塩化Na、ビタミンC、塩化K、
乳酸Ca、甘味料(ステビア)、調味料(アミノ酸)、塩化Mg、香料
大塚製薬(1990)



バブル景気と同時に、飲食界にもいろんなブームが巻き起こった。
外食ブーム、回転寿司ブーム、ティラミスブーム、激辛ブームなどなど。
で、食べ過ぎると当然やってくるのがダイエットブームだ。
しかし、世は飽食の時代。やせたいけど食べたいのが本音である。
そんな願いを叶えてくれる、夢のようなものがブームとなった
それが「ステビア」である。

ステビアとは、南アメリカ原産のキク科の多年草での名前。
こいつから摂れる甘味成分が、砂糖の200~300倍も甘いのに
カロリーが低いということで、砂糖の代替品として世の中に広まっていった。
ステビアを使った甘味料が、大阪の会社によって
世界で初めて商品化されたのは1971年と古いが、
知名度が上がったのは、この「ポカリスウェットステビア」が発売されたことによる。

植物から摂取する天然甘味料だからイメージ的にも良いということで、
当時は喫茶店やファミレスのテーブルに置いてある砂糖なども、
すべてステビア甘味料に替わっていった。

ところがしばらくして「ステビアは発ガン性物質だ」という噂が広まった。
科学的な根拠はなく、真偽のほども定かではないが、世界を見ると
欧米諸国などはステビア抽出物を食品添加物として認めていなかった。
ほどなくして喫茶店やファミレスのテーブルには、普通の砂糖も復活した。

2007年に正式なステビア甘味料としての規格が定められ、
国際的にステビアの安全性が認められたが
すでに2002年には人工甘味料のアスパルテームが
留意使用添加物から除外されていたため、
ダイエット飲料の主流は、人工甘味料を使用したものへと移っていた。
低カロリーではなく、ノンカロリー、ゼロカロリー時代の到来である。

そんなわけで、低カロリーを謳っていたポカリスウェットステビアも、
いつの間にか姿を消してしまった。
わりと最近にデザインも変更されていたので、正式に絶版になったのかは未確認だが、
大塚製薬のHPの商品ラインナップには、ステビアの姿は見えない。
店頭や自販機でも、まず見かけないので、やはり絶版になったのだろうか。

缶のデザインとしては、ポカリスウェットのイメージをそのまま踏襲し、
色相を変えたエメラルドグリーンで発売された。
「LEYTON F1」なみの珍しいカラーリングだったが、
途中から地が白色になり、ロゴも女性向けを意識してか
少し可愛いらしいデザインにリファインされた。

それが、まさかこんなに早く無くなると思ってなかったので、
実は未入手である。誰か情報ください。
あと、「イオンウォーター」の缶バージョンで
ラインナップされてるのかな。ペットボトルしかないのかな。

あー、ステビア復活させてくれ、大塚製薬
いや、これはさすがに無理か。



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青色 破壊命令 1

今回は、定番商品の「ポカリスウェット」。
私が缶の魅力に取り憑かれた頃にはすでに世の中に浸透していたので
購入に関してのエピソードは特にないが、
発売が1980年なので発売時の記憶はそれなりにある。

まず、発売元が「大塚製薬」ということ。
製薬会社がジュースを出したのだから、これはちょっとした事件だった。
大塚製薬はすでに「オロナミンC」というヒット商品を出していたが、
これはビンに入った「栄養ドリンク」のイメージが強いので納得がいく。
しかし、ポカリはジュースと同じように缶飲料として登場した。
発売当時は、缶飲料と言えばジュースしかなく、
そもそもスポーツドリンクなどという概念すらなかった時代。
テレビCMで最後に出る社名を見て「なんで製薬会社?」と思ったものである。

加えてこのポカリ、発売当時は他のジュースに比べて高かった
当時はまだ350ml缶が存在しておらず、細長い245ml缶が一般的だったが、
他のジュースが100円の時代に、ポカリは120円だった。
いくら体に良いと宣伝されても、20円も高いジュースを子どもが買うわけもなく、
私がポカリを飲んだのは、親が気まぐれに買ってきた時ぐらいだった。
感想はすばり「薬みたいな味をした薄~いジュース」。もちろん、子どもには不評。
コーラが日本で発売された時も同じように評されたのは有名だが、それと同じ。

それもそのはずで、ポカリのコンセプトは「飲む点滴」
ずばり、「生理食塩水(リンゲル液)」なのだ。
そもそも大塚製薬は、病院で使用される点滴用のリンゲル液を作っていた会社なので
ポカリはリンゲル液を元にして、飲みやすいスポーツドリンクとして開発された。
「アイソトニック【(人の体液と)等浸透圧の】飲料」という言葉も、
ポカリによって生み出されたというから驚きだ。

POCARI

ポカリスウェット
清涼飲料水 340g
砂糖、ぶどう糖果糖液糖、果汁、食塩、酸味料、ビタミンC、
塩化K、乳酸Ca、調味料(アミノ酸)、塩化Mg、香料
大塚製薬(1980)


さらにポカリが変わっていたのは、缶が「青い」こと。
普通、ジュースとは「甘い」もしくは「甘酸っぱい」ものである。
「甘いもの」「甘酸っぱいもの」といえば「果物」。
「果物」と言えば、「赤いりんご」や「橙色のみかん」、
黄色のレモンやパイナップル」など、暖色系のものが多い。
だから缶ジュースのデザインも、そうしたイメージを連想させるために
暖色系を使うのがセオリーであって、
美味しそうに見えない青色の缶など皆無だった。
そんな青色を飲食品のパッケージに使うのは、当時の業界ではタブーだったらしい。
だがポカリは、スポーツ飲料としての清涼感をイメージとして打ち出すために
タブーを冒して青色を採用した。

これが大ヒットとなるや、他のメーカーもこぞって青色の商品を発売した。
紹介済みの「TERRA」や「Air」、ポカリに匹敵する「アクエリアス」がいい例である。
今でこそ青い缶など珍しくもないが、それもポカリの功績によるものだ。

と、こーして長々と書いてはみたが、当時は細かいことなど知らず、
「体にいいらしいが、高いジュース」というイメージしかなかった。
恐らく、世間も同じようなイメージだったのだろう。
ポカリは発売当初、かなり苦戦したらしい。
理由は前述したように、今までにないカテゴリとデザインであったことだが、
さらに、当時の運動部やスポーツ業界での妙な常識に阻まれた。それは、
「運動中には水分を摂ってはいけない」。 
今では狂ってるのかと言われそうな話だが、
「水を飲んで運動すると、すぐにバテる」という理由で、
当時は本当に水を飲ませてはもらえなかった(経験者)。
たからポカリスウェットも「運動した後に飲むもの」という意味での
スポーツドリンクとして売り出されたのである。

もちろん、肝心の味と機能のバランスが念入りに調整された商品であり、
着実に消費者に受け入れられたからこそ、次々と登場するライバルに負けることなく
定番の座を守っているのだが、デザイン的に見ても素晴らしいのひと言に尽きる。
発売当時からデザインがあまり変わっていないことが、
最初のデザインがいかに完成されたものかを物語っている。

さすが、開発に7年もかけた商品である。

ところでこのポカリ、実は今でも少し高いってことに気づいてるだろうか。
缶の容量をよく見ると、340gである。普通、このサイズは350gなので10g少ない
値段を他のと同じにした代わりに、中身をちょっと減らしてあるのだ。

やるな、大塚製薬


まめちしき


今回は購入エピソードではなく、ポカリの開発経緯について触れてみた。その中でも特に「青色」について触れてみたい。本文でも「飲食品のパッケージに青色を使うのはタブー」と書いたが、それは実験による裏づけがあるのだ。人間の精神・感情・行動に、色がもたらす影響を調べる実験は数多く行われているが、青色には「食欲を減退させる効果」があることが分かっている。例えばテーブルに置かれたご飯を、青色のライトの下で食べると、おいしく感じなくなるという。あるいは、お米を少しだけ青く着色して炊いたご飯は、食べる気もしなくなる。これが青色の効果である。逆に、ご飯を赤いライトの下で食べると、問題なく食べられるどころか、おいしそうに見えて食欲を増すという。これを活かして、飲食店のサンプルは暖色系のライトで照らされていたり、メニュー写真の周りは赤色系の色で縁取られていたりする。だからポカリが青色にデザインされた時、大塚製薬の食品部門スタッフが戦々恐々としたという話も、当然のことだったりする。



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セナプロの攻防 3

というわけで、本題はこれ。


LEYTON HOUSE
LEYTON  F1
清涼飲料水 350g
果糖、ぶどう糖液糖、酸味料、香料、ビタミンC、塩化Na
リン酸K、乳酸Ca、グルタミン酸Na、塩化Mg、ビタミンB2
ポッカコーポレーション 1990


いやー、懐かしい。あったなー、こんなブランド。
「レイトン」って聞いて懐かしいと思う人は間違いなく30歳以上。
若い人は知らないよ、こんな名前。

レイトンハウス(Leyton House )は1980年代後半から1992年まで、
F1やF3000などの国際レースで世界的に活躍したレーシングチームの名前。
だから、前回のセナVSプロストのバトルが面白かった時にも走ってたわけだ。

名前だけみると外国のチームみたいだが、なんとこれ日本のチーム
ホテルやゴルフ場を経営していた会社が金を出して作ったのだ。
今じゃ、スーパーアグリが資金不足で撤退するご時世なのに、
やっぱりバブルの頃って金があったのね。

レイトンハウスはアパレルも展開していて、当時は結構売れていた。
一時は、ベネトンに匹敵するほど有名だったような気がする。
F1のチームは知らなくても、服のブランドとして知ってる人も多かったし。

そんな中で、このジュースは発売された。
ジュース自体は他と同様、変哲のない流行りのスポーツドリンク。
売り文句は「勝利の味」。そのまんまやんけ。
「あななだけのポールポジションを目指してLET'S GO!」
あー、この意味不明な軽いノリが、バブル景気を物語っているなぁ。

デザインとしても中途半端で、微妙にカッコ良くないところもポイント高い。
何といっても、このエメラルドグリーンとゆーか、ターコイズグリーンとゆーか、
翡翠色の缶は、ドリンク類にはあまり使わない色なので珍しくて気に入っていた。

この色はレイトンハウスのイメージカラーで、F1のマシンもこの色。
非力なマシンなのに上位に食い込んだこともあって、そこそこ頑張っていた。
しかし1991年、バブル崩壊によりレイトンハウスの経営は悪化。
翌年にチームは消滅し、レイトンハウス社自体も1997年に倒産した。

レイトンという名前もカッコ良かったし、
日本の会社が作ったチームだったこともあって、
なくなってしまったことは非常に残念だ。

今回は3回に渡って語ってしまったが、
たったひとつの缶に、それだけの思い出があるというお話でした。



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セナプロの攻防 2

1990年は素晴らしい年だった

何がって、アラン・プロストアイルトン・セナの戦いである。
この名前がすらすら出てくる人は、なかなかの年齢の人だと思うので
近くに年齢不詳の人がいたら、聞いてみるといい。
「セナとプロスト、どっちが好きでしたか?」
男の人だったら、当時のこの2人のことを知らない人は少ないはずだ。

彼らはF1レーサーである。
最近のF1はいまいち面白くないと評判だが、それでも一応見ている。
観るなら野球やサッカーよりF1、という変人だから仕方ない。

プロストとセナは当時のトップレーサー
ベテランのプロストはマクラーレンチームに所属し、シーズンチャンピオンに輝いていた。
セナはまだ若手の部類だったが、プロストに匹敵する成績を上げていた。

1988年、そんなセナがマクラーレンに移籍してきた。
しかも同時に、マクラーレンのエンジンがホンダ製になった。
トップレーサー2人が、日本のエンジンを積んだマシンで走る。
マクラーレン・ホンダ黄金期の始まりである。
当然日本のファンは盛り上がった。
そしてこの年、プロストはセナにチャンピオンの座を奪われた。
この年のセナは、プロストというチームメイトの存在を軽視したような乱暴な走りが目立った。
クールで紳士的なプロストと、情熱的で傍若無人なセナ。
こうして2人の間には確執が生まれた。

翌年のチャンピオンシップも、やはりプロストとセナによって争われた。
そしてチーム同士の接触という最悪の形で決着がついた。
この年のチャンピオンはプロストとなったが、
セナはこの接触をプロストの故意だと理解した。
2人の溝はますます深まることになった。

そして1990年。
プロストは名門フェラーリに移籍。
今度は別々のチームで、またしても2人のチャンピオン争いが展開されたのだ。

日本ではセナの人気が高かった。
ブラジル人の彼は情熱ラテン系のキャラと走りで、ファンを魅了した。
ニックネームは「音速の貴公子」。
セナは確かに速いが、ボンボン育ちで暑苦しいぐらいの闘志むき出しな印象が鼻につく。
私はどうしても好きになれなかった。

変人の私としてはプロストが好きだった。
常に冷静沈着で安定した走りをし、理論的なレース戦略をするプロスト。
ニックネームは「プロフェッサー」。
クールな走りに見えるが、実は他のドライバーが真似できない
高度なテクニックを駆使して速いという、知的で緻密な走りに魅力を感じた。
ある関係者もこうコメントしている。
「セナは強烈に速いが、マシンに負担をかけず確実に走る腕はプロストの方が上ではないか」

1990年の優勝争いは、鈴鹿で決着することとなった。
ここでセナが勝てばセナの優勝。プロストが勝てば、決着は次の最終戦へ。
お互いに、絶対に負けられないと思っていただろう。
日本のファンが最も盛り上がった1日だった。

普段のF1は深夜に録画で放送されるが、この時ばかりは生放送である。
日曜の昼、国民の何割かがテレビに釘付けになったことだろう。
当然、私も万全の体制でテレビの前に鎮座していた。

予選のポールポジションはセナ。プロストは2番グリッド。
シグナルが青になった。プロストが好スタートを切り、セナの前に出た。
そして第1コーナー。

「あーーーーーっっっ!」 

実況の古館一郎も叫んでいたが、私も叫んでいた。マジで。
多分、日本中が叫んでいたと思う。

スタートからわずか9秒
第1コーナーでアウトから追い抜こうとしていたプロストに、
セナがインからぶつけたのである。
「ぶつかった」のではなく「ぶつけた」のだ。
マシンは2台絡みながらし、コースアウトして大破。
2人は目も合わせぬままマシンから降り、別々にピットへと歩き出した。

フジテレビが特集まで組んでさんざん盛り上げた鈴鹿戦。
チャンピオンをかけた手に汗握る2人のバトルが見所のはずだったレースは
2人のリタイヤという最悪の形で決着がつき、後味の悪いままセナの優勝が決定した。
ちなみにこのレースの1位が誰だったかは覚えていない。

翌日、学校ではF1の話で持ちきりだった。
あれは、故意事故なのか。
セナは勝つために手段を選ばないやつだ。
いや、昨年のプロストの接触に対する正当な報復だ。
プロストはわざとじゃなかったけど、セナのはわざとだ。
などなど。

結論から言うと、翌年に本人がコメントしている。
あの接触はわざとだったと。

プロストは個人の優勝も狙いつつ、チームを優勝に導くことも考えるドライバーだ。
セナは確かに速いが、クラッシュも多い。リタイヤすればチームにポイントは入らない。
同じマクラーレン時代、プロストは互いが無理をしてチームポイントを失うことがないよう
セナと紳士協定を結んでいた。しかし、セナは幾度となくそれを破った。
セナは自分が勝つことが最優先だったし、本人もそれを信条としている。
日本人としては、こうした自己中心的な行為は一般的に好まれないものだが
レーサーとしては勝利への執念は当然だという意見と、感情表現豊かなキャラによって、
セナは1994年にレースで事故死するまで、多くのファンに愛され続けた。
プロストとセナは生前に和解しており、プロストはセナの死をいたく悲しんだ。
さすが大人のプロストである。

というわけでもなく、そもそもライバルとの確執など
命を懸けて戦っているレーサーなら当たり前のことなのだ。

日本でのセナ人気は、日本のマスコミがプロストを悪役に仕立て上げたことによる。
日本では「速くてまじめなセナ、そのセナをいじめる悪賢いプロスト」といったイメージが
フジテレビの中継をはじめとする多くのマスコミで喧伝されていた。
英語の苦手な日本人向けに、意図的にプロストを悪役にするような通訳がされたという意見もあり、
プロストとセナの争いもセナを同情的に見るファンが多かった、ということである。
事実、レース関係者の間では、プロストの紳士的な走りが評価され、
セナに対しては非難の声も少なくなかったというのだから。

トップレベルの実力者たちは何だかんだいっても、互いを認めているようだ。
それもそうだろう。F1レーサーというのは国籍を問わず、
常に世界に22人しかいない。 
大リーグ選手やJリーグ選手などに比べたら、遙かに少数精鋭なのだ。
だからこそ、私はF1が好きなのである。

さて、さんざんF1について語ってしまったが、
このブログの主旨は、色んな缶を紹介することである。
というわけで、本題は次回。

今回は、その長い前フリでした。

ちなみに、前回の4コマも当然実話。
翌日にゲームセンターに行ったら、F1ゲームに人だかりが。
みんな第1コーナーで相手にぶつけて、
「オレはセナだー!」とか言っていた。
ホント、男って単純で子どもだよねぇ。
ま、そーゆー私も当然やったんですが、
プロストなので、クールに走りました(笑)


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セナプロの攻防 1

3-1

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