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飛行缶 -SORA・TOBU・CAN-

デザインがカッコイイ缶を集め出したのが始まりでした。気づけば部屋中に大量の缶が。エピソードとともに整理しながら発表していきますので、おつきあい頂ければ幸いです。

これこそジュース

というわけで、
タイミングよく本物のジュースをゲットしたので
早速記事にしてみる。

DelMonte PINEAPPLE

デルモンテ
パイナップルジュース


パインアップルジュース(ストレート) 190g
パインアップル
キッコーマン株式会社(2009)


デルモンテって、トマトジュースのイメージしかなかったけど、
フルーツジュースも作ってんだね。
野菜ジュースもあった。

これについては、デザイン云々などいうべくもなく、
もう、弩ストレートなパッケージである。
ゆえに、前回の話に絡めやすいわけであるが。

商品名に、堂々と「ジュース」。
「果汁100%」の表記。
だが、この商品のすごいのは、
こーゆーのにありがちな「濃縮還元」の文字がないこと。

濃縮還元とは、輸送コストを下げるために
果汁の水分を蒸発させて濃縮したものを
商品化の際に再び水と混ぜてジュースにすること。
水分は混ぜものに入らないので果汁100%と表記できる。
しかし、こいつにはその表記がない。
とゆーことは…。

裏を見ると「ストレート」の文字が。
素晴らしい。
まさしく搾ったままのジュースというわけだ。
大量生産される缶商品でストレートは意外と珍しい。

というわけで購入し、飲んでみた。
ん~、甘い!

パイナップルって果実を食べると酸味が結構あるものだが、
ジュースになるとこんなに甘いものなのだろうか。
酸っぱさはカケラも感じられない。
味も、コメントがしづらいぐらい、
ホントーにフツーにパイナップルの味。
できれば果肉入りが嬉しいのだが、
繊維が多い果物なので、難しいのかな。

しかし、この商品、謎が多い。
商品名は「パイナップル」だが、裏面の
名称や原材料などには「パインアップル」と書かれている。
もしかして、果物としての名前は「パインアップル」なのか?
英語的発音は「パイナッポー」だよなぁ。
「パインアップル」って、思い切り日本語的だよなぁ。

それから、デルモンテ。
日本デルモンテ株式会社はキッコーマングループの
会社なんだが、ホームページを見ても、
どこにもこのジュースが載っていない。
キッコーマンのHPでも然り。
いや、辛うじて瓶タイプが載ってたけど
デザインも全く違うし、別商品のようなんだよね。
どーなってんだ?
これ、絶版在庫処分だったのか?
そんなもん売ってるとは思えないけどな、成城石井に。

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ギリギリのデザイン 2

さて、前回のつづき。

今回は商品についてだ。
そもそも「小岩井」とは何なのか、である。

koiwai-ringo

小岩井の起源は、岩手県にある日本最大の農場
「小岩井農場」である。
創業は100年以上前で、共同創始者3名の
小野義眞、岩崎彌之助、井上勝の頭文字をとって
「小・岩・井」となったわけである。
う~ん、この辺のネーミングセンスは
今も昔も変わらないものだなぁ。

ちなみに小野氏は当時の日本鉄道会社の副社長、
岩崎氏は三菱社の社長、井上氏は鉄道庁の長官だったので
かなりの大資本だったと思われる。

後に小岩井農牧株式会社と麒麟麦酒株式会社との
折半出資により、小岩井乳業株式会社を設立。
小岩井乳業は、牛乳、ヨーグルト、チーズやバターなどの
乳製品を主に作っているが、ジュース類のチルド飲料も生産。

チルド飲料とは、紙パック飲料のような要冷蔵保存の商品のこと。
缶やペットボトル飲料のような加圧加熱殺菌を行わないため、
濃厚で芳醇な風味が得られる。
その代わり、価格帯も少し上になっており、
小岩井の商品はちょっと高級なイメージで売っていた。

しかし大きな成功とならなかったのか、
2年前の今日、乳製品以外のチルド飲料事業を
キリンビバレッジに譲渡することになった。

現在も生産・販売は小岩井乳業が行っているが、
あくまで委託という形のため、販売者はキリンになっている。
トロピカーナもキリンが販売しているが、生産は小岩井乳業。
この純水シリーズは小岩井のブランドが残っているものの、
小岩井乳業としては忸怩(じくじ)たる思いがあるのではなかろうか。

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小岩井ブランドの高級感は、
パッケージデザインにも現れていると思う。
色遣いといい、フォントといい、ちょっとシックな感じで、
奇をてらうようなことはしていない。
あまりにオーソドックスなデザインで印象は薄いかも知れないが、
安っぽい感じだけはしない。

このデザインの担当は小岩井なのかキリンなのか。
その辺を知りたいところでもある。


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ギリギリのデザイン 1

ジュース、ジュースとよく言うが、
巷に出回っている飲み物のほとんどは
「ジュース」ではない。

コーラもポカリもファンタもピーチネクターも
正式には「清涼飲料水(ソフトドリンク)」というものだ。

「ジュース」と名乗っていいのは、果汁100%のものだけ。
つまり、本当に果汁だけで作られた飲み物だけなのだ。
ポンジュースやキリンのトロピカーナ、
コカコーラのミニッツメイドなどがそれにあたる。

というところまでは、わりと有名な話。

今回は、その果汁の割合によって
パッケージデザインも変えなければならないという話。

公正取引委員会による
「果実飲料の表示に関する公正競争規約」というものがある。

これには商品名やパッケージの文字表記にも規定があって、
例えば

(5)特選、精選、高級、デラックス、スペシャル等の表示は不当表示に該当する。

とある。
つまり、「スペシャル・ポカリスウェット」とか
「コカコーラ・デラックス」とかにしちゃいかんということだ。
他にも純正、純粋、ピュアって言葉も、簡単に使ってはいけない。

で、パッケージデザインについても、以下のような規定がある。

絵表示の基準
 ア 果汁入り飲料及びその他の飲料にあっては、果実から果汁のしずくが
   落ちている等の表示及び果実のスライス等の表示は不当表示に該当する。
 イ 果汁の使用割合が5%未満のもの及び果汁を含まないものにあっては、
   果実の絵を表示することは不当表示に該当する。
   ただし、図案化した絵は差し支えないものとする。 

つまり、果汁100%のもの以外は、パッケージに
果物のリアルな絵を載せちゃいかんというわけである。

かくして消費者は、パッと見ただけでこれが果汁100パーセントか否か、
果汁5%未満かがわかるわけである。

って、わかるかーい、そんなもん!
作る方もギリギリのラインでデザインしてくるから
この規約を知っていても、かなりじっくり見極めなければならない。

koiwai-2hon

小岩井純水りんご&純水みかん
50%りんご果汁入り飲料 190g
りんご、糖類、香料、酸味料、安定剤、カロチン色素
30%うんしゅうみかん果汁入り飲料 190g
うんしゅうみかん、果糖、ぶどう糖液糖、酸味料、香料、ビタミンC
キリンビバレッジ株式会社(2008)


ほらね。
かなりギリギリ。


これらは果汁100%ではないから、果実の絵は使ってよいが、
果汁のしずくは表示してはいけないことになる。
しかし、明らかにそれっぽいしたたりが。

だがよく見れば、この絵の果実は切られていないので
果汁がしたたることはないはず。

そう、このしたたりは、果実の表面についた水滴
したたっているのである。
あ~、ギリギリ。

しかも商品名は純水りんご
ではなく純だからギリギリセーフ

すげーよなぁ、商品開発って。

つづく


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